【年賀状即売会】
10月の終わり。
さちこは、年賀状のデザインについて考えていた。
12月にある商店街での年賀状即売会に出展するためだ。
プリンターとパソコンを置き、希望のデザインを印刷して販売するイベント。去年、さちこのデザインは13枚売れた。しかし先輩は、100枚以上も売っていて愕然としたのを覚えている。
今年は大台を突破すべくさちこは、友達とチームを組んでデザインを考えていた。
【卒業生へ】
とし君は、ただしにとっては憧れだった。
「こどもしゅっぱん社」に入った小3のただしを優しく教えてくれたのが小5のとし君だった。
そのとし君が中学生になるということで卒業することになった。
「こどもしゅっぱん社」では、卒業生に在校生からあるものをプレゼントする伝統がある。
それは、卒業生の一人一人を特集したフリーペーパー。
ただしは、とし君のフリーペーパー担当を真っ先に立候補した。
とし君をかわいがっていた八百屋さんの元さんや豆腐屋のトミさん。
みんなにとし君へのコメントをもらった。
とし君の人望も手伝って、『コメント書かせて欲しい』と頼んでもいないのに言ってくる人までいた。
表紙は、とし君とただしがツーショットで写っている写真にした。
編集長の特権乱用だ。
作りながら、いろんな思い出がよみがえってきた。
ふざけてるとき、しかってくれたとし君。
『写真撮んの好きやねん』と目をキラキラさせながら一眼レフを構えていたとし君。
メンバーと話し合いながら記事を作っていった。
ただしは、明日の卒業式では、『絶対泣かない』とみんなに宣言してたのに、当日は声をあげて泣いていた。
【オリジナルデザイン】
みちるは小学4年生。学校ではよく友達と手紙のやりとりをする。この前、いつものように休み時間、友達に手紙を渡した。すると放課後、『みちるちゃん!この手紙めっちゃかわいいやん。どうしたん?』するとみちるは、ちょっと照れながら『それ私作ってん』と答えた。
【一眼レフとの出会い】
絵を描くのは嫌いだった。
下手だし、面白くもなかった。
だから、はじめはフリーペーパーを作ると言われても『ふーん』という感じだった。
仲のよかったまさるが『とにかく、めちゃくちゃおもろいんや』と誘われたので興味本位で入ってみた。
半年でカリキュラムが終わるらしいし、面白くなかったら続けなかったらいいだろという軽い気持ちだった。
入って何回目か授業で一眼レフの講座があった。
はじめて触る一眼レフカメラは、ゴツゴツしてて重くてカッコ良かった。シャッターを押すと、なぜがドキドキした。
これがとしの一眼レフとの出会いだった。
そこからは、「こどもしゅっぱん社」で一眼レフを借りていろんなものを撮りにいった。
※この物語はフィクションです。
こどもしゅっぱん社